第1章
第1話
プロローグ

私(木村直美)は、神戸市在住の36歳、専業主婦歴7年、結婚8年目のごくごく普通の主婦でした。
子供は、6歳になり来年4月には、早いもので小学生になります。可愛い女の子ひとりです。
夫は、中堅事務用品メーカーの営業マンで、日々私達のために汗を流してくれています。

つい半年前までは、お洒落にも全く気を使わなくなった主婦、お母さんだったのです。
今、半年前の私を思うと、ホコリ色というのか灰色だった気さえ致します。
あの日、この場所で私の常識、いえ、生まれ育って培ってきた俗識が大きく変わったのです。
もちろん後悔はしていません。
むしろ、一般常識という硬い殻に閉じ込められていた俗世から飛び出して大きく大空に羽ばたいた気分です。
夫との関係も以前にもましてとても良好親密になり付き合った当初のような幸せを漫喫しています。

夫(木村祐介)との出会いは、同じ会社の2歳年上の先輩後輩といった関係でした。
印象は、見るからに真面目で大人しい感じ、どちらかと言えばオタクっぽい感じです。
営業マンって感じではないのですが、事務用品なので、そういう感じが丁度良いのかも知れません。
当時の夫は、いつも一緒に営業に廻ってくださる新入社員の私の教育係といった関係でした。
毎日毎日、朝から晩まで夫と一緒に飛び込みで企業訪問を繰り返し、毎日毎日ランチをご一緒しました。
そんな状況で、お互いに好意を抱くようになるのにそう時間は掛からなかったのです。
私も夫と同じで真面目を絵に描いたような人間だったので、誠実な夫に自然に惹かれたのです。
入社後、半年を過ぎたころには、会社終わりにそのままデートするようになっていました。
今でもぎこちなかったファーストキスを鮮明に思い出します。
心臓が張り裂けるぐらいドキドキとしていました。
実は、私は、思春期から異性との交際にすごく興味があったのです。
でも両親の勧めもあり女子高女子大出身だったので、出会いもなく夫が初めてキスした男性でした。
当時、夫に抱きよせられるだけで、キスを交わすだけで、動揺し激しく興奮していたのを思い出します。
夫と初めて結ばれた晩は、処女だと中々言いだせず、ただただ俯いていました。
そんな私を他所に当時の夫は、ホテルに入るなり襲いかかって来ました。
夫は、めちゃめちゃ焦っているようで、なんか無我夢中の様子だったと思います。
押し倒されベッドの上のスイッチが沢山ならんだタイルのような部分にゴチっと頭をぶつけてしまいました。
そのお陰で夫がしゅんとして冷静になってくれました。

「実は、お、俺・・・初めてなんだ・・・ごめん・・・」

夫のあの時の情けない顔は、今でも思い出します。
でも夫の告白で、私も、処女だとすんなり告げることができたのです。
それからは二人で時間を掛けながら初めてのエッチを何とかやり遂げることができたのです。
本当にヤバイって思うほど痛かったのを覚えています。
それからは、ほぼ毎日のように繋がり合いました。
私の陰部の痛みは、回数を重ねるごとに痛みから快感に変わっていきました。
快感に変わるまでは、痛いけど、夫のことが好きだから我慢していたという状況でもありました。
夫も最初はコンドームを付けるのも苦労していたのに、徐々に素早く装着できるようになりました。
ぎこちなかったSEXがいつの間にかスムーズに展開できるようになって行きました。
私も、1回だけじゃ物足りなくなり、お口で元気にしてあげる方法もネットで学びました。
当時、一晩で、4回も5回もしたことがあったぐらいです。
あの頃、夫と貪るようにお互いを求めたことを今は懐かしく思います。

それから5年ほどお付き合いし結婚したのです。
もう自然の成り行きでした。プロポーズみたいな儀式もありませんでした。
どちらともなく結婚式の日取りを決めて、結納日を決めて、流れるように結婚したのです。
もちろん、結婚するまでも結婚してからもSEXはしていました。
でも、お付き合いしていた当初に比べるとだいぶ回数は減って行きました。
毎日から、2日に一回。週に1回・・・。月に1回・・・。
そんな感じだったでしょうか。なんだかもう兄妹とか身内になってしまったのだと思います。
28歳ぐらいから、排卵日に合わせて、子作りのためにSEXをするそんな感じでした。
29歳になったころ、今、6歳になる我が子を授かりました。
それからは、夫は私にものすごく気を使ってくれて、優しくしてくれました。
その優しさからだと思うのですが、SEXなんか絶対御法度になったのです。
お腹の子にもしものことがあったら大変だと、ただただ私に優しく接してくれたのです。
夫の献身もあって、無事に我が子を出産でき、その後は育児に追われる毎日でした。
きっと私が、鬼婆のような形相をして育児していたからだと思います。

夫は腫れものを扱うように私に接し、もちろんSEXのセの字も夫は口にしなくなりました。
結局、つい半年前まで、一切、夫は私とSEXをしようとはしませんでした。
私も、今さらエッチしようなんて言いづらくなってしまい、お互い様なんだと思います。

振り返って見ると、我が子を授かったあの日のSEXが夫との最後のSEXになろうとしていました。

全くSEXをしたくない訳じゃなかったんです。
夫とSEXしなくなってからは、妄想というのでしょうか、顔のない男性との甘い口づけや蕩けるような逢瀬をいつしか夢見るようになっていました。
だからと言って自慰行為をするようなことはありませんでした。
自分で陰部を弄るなんて考えもしなかったのです。
でも、朝、目が覚めてトイレに行くとべっちょりと濡れそぼっていたことは何度かありました。
私はそれが何だから浅ましいというか動物的に思え、軽くペーパーで拭いて胸の奥に封印したのです。

子供が幼稚園に通うようになると、自分の時間が徐々に増えるようになりました。
それまでは、ただ毎日毎日、我が子に振り回され、息つく暇もなかったのです。
しばらくは、ほっと一息つけるようになって、それだけで満足だったのです。
でも、徐々に暇を持て余すというか、ポツンと一人取り残されたような気さえ覚えるようになりました。
朝のワイドショーもいつも同じような人の噂ばかり、何が面白いのかも分かりません。
チャンネルをぐるぐると回しても興味を引くような番組もありません。
結局は、夫と共有のノートPCでSNSやブログを見て回る日々でした。
もちろん同年代ぐらいの主婦のページばかりを読み漁っていました。
子育ての悩みや、料理レシピなど、共感したり参考にしたりです。
でも意外と多いのが、ご主人とのセックスレスの悩みやアドバイスです。
セックスレスの同年代のご夫婦がこんなにもいらっしゃるのかとびっくりするほどです。
段々日を追うごとに、子育ての悩みや自慢、料理レシピから、自ら主婦のセックスレスに関するSNSやブログを頻繁に検索するようになっていました。
特に色々な方からレスされるアドバイスに興味津々でした。

「不倫しちゃえば。」「私不倫してる。」そんな身もふたもない回答も多いです。
「お洒落してご主人の気を引くべき。」「エッチな下着履いてみたら。」
「ちゃんと向き合って相談するべき。」「ED薬とか処方してもらったら。」

そんなアドバイスされても、きっととっくに試しているんだろうなと思うことばかりです。
私もその一人でした。
ED薬は流石にありませんでしたが、精力がつくような料理は散々試していたのです。
もちろん、下着もTバックを履くようにしたり、セクシーなランジェリーにもしていました。
そういう下着を身に着けるとイタズラ心が騒ぐというのでしょうか。
最近は、わざとTバック姿でベランダに出て、洗濯物を干したりします。(挿絵
近所のスーパーに行くときは、エッチなショーツを身に着けてノーブラで出かけたりも増えてました。
もしかしたら誰かに気づかれるかもと思うと、ドキドキして子宮がゾワッとするのです。
だからと言ってその先がある訳じゃないですが、今度はもっと際どい恰好でベランダに出て見ようか、
もっと薄いブラウスでノーブラ散歩してみようかと心臓を高鳴らせていたのです。

一度だけ、娘を幼稚園に送り、その足で電車で須磨浦公園まで行って、大胆なことをしたことがあります。
もう11月も後半でとても肌寒い日でした。
タイトの厚手のミニスカートに黒系のパンスト、上は、ブルゾンにマフラーを着て出かけたのです。
一つだけ秘密がありました。ブルゾンの下は、透け透けのシースルーのセーター一枚でした。
ブルゾンを脱ぐと上半身裸と変わりありません。
そんないで立ちで、朝から娘を連れて幼稚園へ送り、そして電車に乗ったのです。
ブルゾンの前をしっかり止めてマフラーまでしてるので、誰もそんな恰好してるなんて思わないはずです。
でも、自分がそんな恰好してるんだと意識してドキドキがずっと収まらないのです。
目の前の座席に50〜60代の男性が座っています。
携帯を見ながら時折こちらをチラチラと見ています。
ミニスカートから伸びるパンストを履いた太ももに目線が這わせられているように感じます。
白のTバックのショーツがパンスト越しに滑り、電車の椅子に座っていると股間に食い込みます。
私は、目の前のおじさんにバレない様に電車の揺れに合わせて、お尻をゆっくりと前後します。
Tバックの細い布が、お尻の穴から陰部へとゆっくりと滑るのです。
その度に気が遠くなるような快感が全身を襲ってきます。今にも気をやってしまいまそうです。
そうこうしている内に須磨浦公園駅に着きました。
私が電車の座席から立ち上がるとオジサンは残念そうな顔つきをしていました。
駅を降り須磨浦山上公園を目指しロープウエイに乗り、途中で、カーレーターという変な乗り物に乗り換えます。
二人掛けのケーブルカーみたいなものなのですが、斜面に合わせてか、椅子が斜めになっているのです。
下りの乗客からは普通の膝丈スカートでもパンツが見えそうです。
いわんや私の場合は、どう隠しても丸見えです。
まだ平日の午前中だと言うのにこういう時に限ってカーレーターで降りて来る乗客がチラホラいるのです。
最初は必死に脚を閉じていました。
でも、心の中で葛藤するのです。見せちゃだめ。見られない様にしないと・・・。
そんな心の声も確かにありました。
でも、折角こんな格好で来たのよ。見られたって襲われる訳じゃないじゃない。
もっとドキドキしたいじゃない・・・。そんな声が私を支配していくのです。
次第に股は緩み、下り側に不自然に見えないぐらいに少し斜めに身体を向けます。
さすがに恥ずかしくて顔だけ背けてしまいました。(挿絵
下り客がすれ違う度に心臓が張り裂けそうになりました。股のゆるみも既に肩幅ぐらいになっています。
もうハッキリと下り客に私の股間を見られているに違いありません。
もうダメって叫びたくなったころ、山頂駅に到着しました。
なぜここに来たかというと、どうしても山頂でエッチな自画撮りをして見たかったのです。
青空のもとで半裸姿の自分を撮ってみたかったんです。
私は、よろよろと歩きながら、山頂を目指しました。
結構、ハイキング客がいて、女一人で歩く私を怪訝そうに見つめられました。
なんか自分のことを見透かされているようで、さらにそれが私の心臓の鼓動を早めました。
15分ほど歩くと山頂につき小さな小屋が立っていました。
私は、そこのベンチに腰掛けるとチャンスを伺います。
マフラーを外し、ブルゾンで前を閉じます。
自撮り棒を携帯にセットし、私の2mほど前にセットします。
あとは、人気がない時を狙って、ブルゾンを脱ぎ捨て、携帯のシャッターをタイマーで切るだけです。
タイマーの時間を考えると15秒ぐらいあればできる筈です。
たった15秒。その間だけハイキング客が途切れればいいのです。
平日の午前中です。そんなに人は多くないのです。
でも、今って思うと、人が来ます。なかなかタイミングが合わないのです。
人が途切れても、なかなか勇気が出なくて、今ならって思っているうちにまた人が来るのです。
あれだけ時間があれば、十分撮影できたのに・・・。
そんなことの繰り返しで、ベンチに座って30分以上も経過していました。
もう、いつまでもこんなことしてられません。
ここはお弁当とか食べるのに最適な場所なんです。
お昼が近くなったら、人が集まってくるかもしれないのです。
私は意を決しました。
人が通り過ぎ足音が聞こえないのを確認するとブルゾンを素早く脱ぎ捨てました。
冷たい風がバストを通り抜けます。
携帯まで数歩歩み寄り、タイマーをセットして元のベンチに戻ります。

5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・カシャ(挿絵

私は、素早くブルゾンを着ました。
振り返るとなんとオジサンが数人丁度私の後ろを通り抜けていきました。
もしかしたら見られたかもしれません。
でも、背中だけです。
背中は見られちゃったかもですが、たぶん前は見られてないはずです。
それでもその場で飛び上がるほどビビりました。
ブルゾンを身に着け、マフラーを首に巻くと、携帯を自撮り棒から外し写真をチェックしました。
私の真後ろにさっきのおじさんが写っていました。
幸いこちらには全く気付いた様子はありませんでした。
私は、いそいそと、来た道を引き返しました。
ロープウエイの駅まで到着すると、あまりの緊張からの緩和なのか急激にトイレに行きたくなりました。
私は、ロープウエイ駅の公衆トイレに行きました。
個室に入り、スカートを捲りあげると生臭い臭いがムワ〜っと広がりました。
恐る恐る陰部を覗き込むとパンストまでも夥しく滑りが広がって光っています。
スカートのお尻部分まで少し湿ってしまっていました。
私は、身体がこうまで反応してしまうことに戸惑いました。
いえ、分かっていました。
ベランダにTバックショーツで出ても、ノーブラで買い物行っても、いつも濡れるのです。
でも、今日のそれは今まででは考えられないほど汚してしまっていたのです。
私は、恥ずかしければ恥ずかしい程、身体が反応することを自覚しました。
長いおしっこを終え、トイレットペーパーで陰部を軽く拭いた時でした。
身体に電気が走り思わず声を出してのけ反ってしまいました。
私はその瞬間に激しく逝ってしまったのです。
もう、それ以上、陰部を拭くこともできませんでした。
しばらく落ち着くまで、トイレに座り、ショーツとパンストを丁寧にペーパーで拭きました。
息が整ってからそのままショーツを履いてパンストを履きスカートを整えトイレを後にしました。
もしかしたら生まれて初めての自慰体験だったのかもしれません。
一瞬、トイレットペーパーが触れただけですが、誰の手も借りず自分で逝ったのはあの時が初めてでした。
しかも今まで夫とのエッチでも感じたことがない激しい快感が身体を襲ったのです。

それからは私は、家にいる時も半裸で過ごすことが多くなりました。
もちろん、夫にその気になってもらいたいというのもありました。
でも、そんな恰好で過ごしている自分に陶酔していたのも事実です。

そうなんです。夫が浮気なんかする筈ないと思っていたから私は自分の世界に酔っていられたのです。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、夫は携帯を必ず持って家の中で過ごすようになりました。
結婚してから一度もそんなことなかったのに、ずっと携帯を持っているのです。
私が夫の携帯を見ようとするとのらりくらりと言い訳して隠すようになったのです。
夫は、もしかして他の女と・・・。私の中でそんな疑念が沸々と沸き起こりました。
なんかセクシーな下着姿で、夫の気を引こうとした自分が惨めに感じだしていました。
夫は、私の下着姿を見ても、子供の話ばかりで全く興味を示しませんでした。
夫は、夜、一通り子供の話を聞くと携帯とノートPCを持ち、自分の部屋に閉じこもってしまいます。
もしかしたら浮気相手と夜な夜な連絡取り合っているのかも知れません。
今までだったら、仕事の残りを部屋でしてるんだと信じていましたが、夫の行動があまりに怪しいのです。
私のエッチな恰好見ても全くその気にならないのです。
絶対にこの時は夫が浮気していると確信していました。

ある朝、いつものように夫の部屋からノートPCを持って来ました。
電源を入れようとするとスリープモードになっていたらしくブラウザがいきなり立ち上がりました。
夫の電源消し忘れは、たまにあることなので全く気にもしていませんでした。
だいたい仕事関係か何かのホームページが立ち上がるのです。
でもこの日は違っていました。立ち上がったページは、チャットのログでした。
昨夜、夫がチャットしていたログが、そのまま全部残っていたのです。
その内容に衝撃を受け、私は、しばらく放心状態となってしまったことを覚えています。
私は、そのログを全てコピペし、今も夫に内緒で携帯に保存しています。

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