第2章
第1話
未知への扉

あっという間に待ち合わせの駅に到着しました。
夫とSAKURAさんへ訪れるための待ち合わせの駅です。いわば未知の世界への入り口です。
普段、幾度となく買い物などで立ち寄る駅だというのにこの日は全く別の世界に降り立ったように感じました。
東口改札を出ると神戸の繁華街だけあって、これから飲みに行くのか改札前は人込みで埋め尽くされていました。
時刻を見ると19時ちょっと過ぎで、待ち合わせ時刻まで30分ほど早く到着してしまいました。
どこかで暇つぶししようかと顔を上げた瞬間、夫が目の前に立っていました。

『お、おぉ・・・早かったじゃないか。』

「あ、あなたこそ・・・」

『あ、俺は早く仕事終わったんで、そのまま来たんだよ。』

「いつからいたの?」

『あ、えっと・・・いいじゃないか。』

夫はきっと私よりずっと早くに来ていたんだと思います。
ソワソワと所在なさげな夫がなんだか微笑ましくもありました。
そういう私も冷静とは言い難い状態でしたが、夫には悟られぬようふるまいました。

『た、確か8時だったよな。パーティ。め、飯でも食うか?』

「そうね・・・ご飯・・・でも・・・何だか食欲ないわ。」

とても食事できるような心境ではありませんでした。
ただただ喉がカラカラに渇いていました。

『そ、そうか。じゃ、じゃあ茶店でも入るか・・・』

「そうね・・・喉渇いたし・・・」

『お、おう・・・俺も喉カラカラなんだよ・・・』

「やっぱり夏の夜は蒸し暑いね・・・喉がすごく渇くわ。」

『じゃ・・・じゃ、行くか・・・』

私たちは、駅前の横断歩道を渡ったところにある喫茶店に入りました。
アイスコーヒーを二つ頼むと、席に座りました。
二人とも押し黙ってしまいました。

『お、おい、その水色のワンピース少し薄くないか?ブラが透けてるぞ・・・』

「そうかしら・・・。実家にあった学生時代の服、着て来たから・・・。
サマーカーディガン羽織ってるから平気でしょ?
パーティって聞いてたから少し若めの服がいいかなって思って。」

『そ、そっか。い、いいよ。す、すごく・・・。ぶ、ブラの紐はない方がいいんじゃない?』

「あ、そうね。返って安っぽく見えちゃうかもね。あとで外しておくね。」

『あ、あぁ・・・す、すごく素敵だよ・・・』

「そう。ありがとう。ね、ねぇ。どんなパーティなのかしらね。参加者の顔ぶれとか知らないの?」

『え、あ、う、うん・・・参加されるご夫婦さんは、4〜5組って言ってたけど。
ど、どんな方なのかは、聞いてないんだよ・・・』

「そうなんだ。お酒とかあまり特異じゃないけど、大丈夫かしら・・・」

『あ、ソフトドリンクもあるそうだよ。お酒もソフトドリンクも飲み放題みたい。』

「そっかぁ。初めてお会いする方と仲良くお話できるかなぁ・・・」

『う、うん・・・主催者の方が、いろいろフォローしてくださるって言ってたし、何とかなると思うんだよ。』

「あなた、楽しみ?なんだかすごく緊張してるみたいだけど、大丈夫?無理してない?」

『あ、お、俺はすごく楽しみだよ。き、緊張なんかしないさ。』

「珍しいわね。昔は営業だって初対面で話すのストレスだって言ってたのに・・・」

『あはは。そ、そうだったかなぁ。とにかくすごく楽しみだよ・・・』

「そう・・・あなた、何か私に話して置かないといけないことない?今日のパーティ。」

『う、うん・・・と、特にないけど・・・
色んなご夫婦さんがいるから、ある程度、場の雰囲気に合わせて欲しいかな。
お酒が入るから、いろいろ大胆な発言もあるかもだしね。』

「そ、そう・・・。大丈夫よ。私は空気を悪くしたりはしないし、合わせるのは得意よ。」

『どうしても、い、嫌だったら小声で伝えてよ。すぐに主催者に言って退出するから・・・』

「わかった。すごい苦手な感じだったら、そうするね。」

・・・・・・。

会話らしい会話は、最初の5分ほどでした。20分ぐらいでしょうか、沈黙が続きました。
沈黙の間、私は今から起きることを想像し、子宮を震わせていました。
沈黙は20分でも、私にはとても短い時間に感じました。
夫も同じだったと思います。
俯いて貧乏ゆすりをしていたので、きっと色々想像したり葛藤してたのでしょう。

「ねぇ・・・10分前よ・・・時間そろそろじゃない?」

『あ、そ、そうだね・・・。3分前にここ出れば間に合うよ。』

「そうなんだ。下調べしたの?」

『あ、さっき会場確認しといたんだよ・・・』

「あら、ズボラなあなたにしては珍しいわね・・・。」

『そ、そうか?迷ったらいけないしな。ははは・・・。』

「じゃあ、ちょっとトイレに行っておくね。ちょっと待ってて。」

私は、上に羽織ったサマーカーディガンを座っていた椅子に脱ぎ置きトイレに駆け込むように急ぎました。
何だか今日は朝からトイレが近くて何度もおしっこに行っていました。
この時も強い尿意を覚えていました。
尿意もそうですが、この時は何よりお尻が汚れてしまっていないか心配だったのです。
沈黙している間、色々考えてしまって、陰部から熱いたぎりが溢れるのをはっきりと感じていたのです。
電車に乗っている時も同様だったのですが、立っていたのでお尻を汚すことはないと思いました。
白ワンピースのお尻に大きく染みを広げてしまったことで、電車の座席には座れなかったのです。
でも、喫茶店では座るしかなかったのです。内心は気が気じゃなかったのです。(挿絵
喫茶店のトイレに入り、お尻を確認しようとしますが暗くてあまり良く見えませんでした。
若干湿ってしまったかも知れませんが大丈夫そうでした。
取り急ぎワンピースを捲り上げ、ショーツを膝まで下ろし便座に座ると大量におしっこが溢れました。

「あ、あぁ・・・・」

思わずおしっこをしながら変な声が漏れてしまいました。
白のTバックショーツのクロッチ部分を見ると酷く濡らし黒ずんでしまっていました。
トイレットペーパーでよく拭き取るぐらいしか対処しようがありませんでした。
ウオッシュレットを陰部に充てると、電気が脳天に突き抜けるかのような衝撃が走りました。

「あ、ひっ・・・あっ、あぁ・・・・」

もっと充てていたいという衝動が起きますが、もう時間がありません。
ウオッシュレットの水圧を弱くし、よく陰部を流しペーパーで軽く拭きとってショーツを履きました。
ワンピースの裾を直し、夫に指摘されたブラ紐を外しました。
肩紐があるとブラがずれる心配がないのですが、歩くとずり下がってしまいそうです。
若いころと違って私のバストは小ぶりながら少し垂れてしまっているのです。
散々、子供に授乳したので仕方ありません。乳首も随分大きく発達してしまいました。
でも、乳房が垂れてることで、どうしてもブラのカップを押し下げるのです。
ここから歩いて3分っていってたし、ゆっくり歩けば大丈夫だろう・・・そんな風に納得しました。
トイレを後にすると、既に夫が荷物と私のサマーカーディガンを持って、待っていました。

「ごめんごめん。待った?」

『い、いや・・・なんとなく、気が焦ってさ。』

「カーディガンありがとう。」

『じゃ、じゃあ行くか・・・』

「うん・・・」

私は、サマーカーディガンを羽織り、夫の後を追いました。
南に歩くとすぐに大きな商店街があり、それを横切り路地に入ると、すぐに目的地に着いたようでした。

『こ、ここだよ・・・』

「そ、そう・・・中は見えないんだね・・・」

入口にカーテンが施されており、中を全く伺い知ることはできませんでした。

『時間も丁度・・・。じゃ、じゃあ入るか・・・』

「う、うん・・・」

私は自然に夫の腕に自分の腕を絡ませていました。
夫が入口の扉を押し、ゆっくり開きました。

マスター『いらっしゃいませ〜』


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