第2章
第2話
魅惑の宴(初めてのSAKURA)・・・@

中に入ると薄暗くこじんまりしたミニバーのような雰囲気のスペースが広がっていました。

夫『こ、こんばんわ』

マスター『あ、初めてご予約いただいたご夫婦ですね。ようこそSAKURAへ。』

夫『は、はぃ・・・』

マスター『皆様これから・・・あ、いらっしゃいませ!空いてる席にお掛け下さい。いらっしゃいませ!』

私たちが入った時は、私達だけだったのですが、あっという間に私達含め4組のカップルさんが揃いました。

マスター『リナちゃん、皆様からオーダー聞いて。』

私と主人は、とりあえす烏龍茶をお願いしました。
なんだか、アルコールは冷静でいられなくなりそうで怖かったのです。
夫も烏龍茶にしていたので、きっと同じような心境だったのだと思います。

マスター『は〜い。皆様、ようこそSAKURAへ。
本日は4組様と私、惣一郎、SAKURA girlのリナで、皆様とともに楽しい時間を過ごしたいと思います。
え〜それでは、乾杯の後、皆様自己紹介を簡単にお願いします。
それでは・・・グラスをお持ちください。今日に日にかんぱ〜い!』

『『『『かんぱ〜い!』』』』

マスター『それでは、今日初参加のお二人から順番にお願いできますか?それでは会場を施錠致します。』

夫『YとNと申します。本日はよろしくお願いします。初参加でパーティ初心者です。』

A『けいことまなぶです。本日3回目の参加になります。皆様、ぜひ仲良くしてください。』

B『まさる&まいです。本日2回目の参加です。前回、とっても楽しかったので参加しました。
よろしくお願いします。』

C『さとし&かよです。もう何回来たか覚えてません。どうぞよろしく。』

年齢層は40代〜30代ぐらいの方々でそれぞれなのですが普通のご夫婦かカップルさんのように見えました。
しばらくお酒を酌み交わしながら談笑していました。私たちは烏龍茶でしたが。
でも、やっぱりエッチな会話が中心になってきました。
夫は、その度にしどろもどろになり、愛想笑いをしています。
私はというと、夫の方をチラリチラリと見ながら、他の参加者さんの様子をうかがっていました。
10分ほど経ったころでした。

マスター『さて、皆様、2Fに上がってお寛ぎ下さい。貴重品は、3Fでお預かりいたします。
では、お一組づつ、3Fまでご一緒ください。では、さとし様かよ様から・・・』

マスターそう促し、一組づつ案内してくださいます。
私たちは、最後でした。
皆さん、貴重品を預けるとグラスを持って2Fのソファー席で寛いでいるようでした。
夫と二人で、マスターにくっついて3Fに行くと半分のスぺースに真っ黒なマットレスが敷き詰められていました。
とても暗いそのスペースを横切り、カーテンをくぐると、事務所のようなスペースが現れます。
そのあまりのギャップに少しドキッとしました。
すぐカーテンの先は、暗い淫靡な雰囲気が醸し出されているのです。
たったカーテン一枚なのです。虚構と現実の境界がそこにありました。

マスター『さ、お二人様、そこの椅子にお座り下さい。初参加ですので簡単にご説明をさせて頂きます。』

夫『あ、は、はぃ・・・』

マスター『YさまとNさまですね。もしお気に召して頂けたら次回は呼びやすいお名前を考えておいて下さい。』

夫『あ、す、すみません。よく分かっていなくて・・・。』

マスター『いえいえ、奥様ですね?えっと、ここにはご主人に説明を受けていらっしゃいましたか?』

「あ、えっと、仲の良いカップルさんのパーティと聞いてます。」

マスター『あはは。その通りです。仲がちょっと良すぎてしまう場所かもですね。
相互鑑賞とかスワップとかそんな性癖の持ち主が集まるパーティです。
まぁ、スワッピングはしなくて大丈夫です。相互鑑賞程度で十分お楽しみいただけます。
殆ど皆様、相互鑑賞止まりですしね。』

「え、えっと・・・あなた、相互鑑賞?って・・・」

本当は、全部知った上で夫とここに来ました。でも夫は私にそのことは話してないのです。
私は、知らないふりをしないとなりませんでした。

夫『あ、言ってなかったかなぁ・・・。こ、ここはみんなで見せ合ったりするんだよ・・・』

「み、見せ合うって?」

夫『あ、愛し合ってるところ・・・』

「き、聞いてないよ・・・」

マスター『あらら。奥様、知らずにいらしたのですね。
たまに初心者さんでそういうカップルさんいるんです。
だから、最初にここでお話させて頂きました。ご無理なことはいけません。お帰りになられますか?
それとも見学だけでもしていかれますか?皆様、初心者様のことはよくご理解下さってます。
こういう世界もあるってことを見ておきますか?お帰り頂いても結構です。
でも、その場合も参加費は頂戴せざるを得ません。どうしましょう?お二人でご相談ください。』

「あなた・・・どうして?ここに・・・」

夫『あ、あぁ・・・ずっとレスだったから何かきっかけ・・・って思って・・・ご、ごめん・・・』

「そうだったの・・・でも言ってくれたら良かったのに。私ずっと待ってたのよ・・・」

夫『そ、そうだったの?そ、そっか・・・なかなか言い出せなくて・・・こういう場所ならって・・・』

「で、でもあなたとここでするの皆に見せるんでしょ?わたしの裸、みんなに見られて平気?」

夫『あ、あぁ・・・むしろ見せて見たいんだ・・・。』

「そ、そうなの?でもこういう場所だったら他の男性に触られたりするかもよ・・・いいの?」

夫『あ、あぁ・・・俺の前で触られてるお前を見たいんだ・・・ご、ごめん・・・』

「そ、そうなんだ・・・う〜ん・・・これっきりにしてくれる?それから今日は見学だけ。いい?」

夫『あ、あぁ・・・でも出来たら・・・ご、ごめん。見学だけでいいよ。』

「よく分かんないけど、見学って言っても周りの方が不快にならないようにはします。それでいい?」

夫『あぁ・・・無理しないでいいよ・・・ごめん。』

「謝んないで。あなたなりにレスを解消したくて考えたんでしょ?そのことについては嬉しいよ。
レス解決策に選択したことに対しては、よく分からないけど・・・。」

夫『ご、ごめん・・・』

「だから謝んないで。じゃあ、飲もう!烏龍茶じゃ見てられないよ。お酒飲まなきゃ!」

マスター『解決しましたか?ご見学されるのですね。ご無理なことは一切しないでください。
そのために私やSAKURA girlがいます。SAKURA girlのリナは、真正のレズビアンです。
男性からのタッチはNGです。でも女性同士であれば何でもします。
それから私は一切、女性には触れません。服も脱ぎません。
これは困ったって思ったら私のところに来て下さい。すぐに救出いたします。
ご自分たちの判断で、範疇でお楽しみくださいね。では貴重品お預かりいたしますね。』

「マスター!濃いお酒作って下さい。うんと濃いの。」

マスター『おふたつですね。わかりました。』

夫『あ、ぼ、僕は烏龍茶でいいです・・・酔うとよくないかもなので。』

マスター『かしこまりました。それでは奥様の分だけウイスキー濃い目でおつくりしますね。
奥様、ではそのグラスこちらでお預かりします。新しいグラスに変えますね。
それでは、2Fの空いてるソファーでお待ちください。ごゆっくりお楽しみください。』

私と夫は何となく気まずい雰囲気で2Fのソファー席に座りました。
夫は、私と目を合わせるごとに「ごめん・・・」と謝って来ます。
それが何となくもどかしいというか、少し苛々としてしまうのです。
そんな私の苛々を感じ取ってか余計に謝るのです。
他の参加者さん達は、私達の様子を気遣って下さっているようで、ほっといて下さいました。
3組で私達の存在がないかの如く、ワイワイと楽しく飲んで談笑されていました。

「あなた、もう本当にいいわ。折角なんだから楽しまなきゃ・・・ね!」

夫『あ、あぁ・・・あ、ありがとう。』

「ねぇ・・・酔う前に聞いていい?」

夫『あぁ・・・』

「さっき、私が他の男性に触られてるところ見たいって言ってたけど、どういうことなの?」

夫『あ、あぁ・・・い、いんだよ。無理しなくて。忘れてくれ・・・』

「何を今さら・・・。ここに連れて来たんだよ。私を。ちゃんと言って。私は怒らないよ。
それに、ここに私を連れてくるの相当迷っただろうし、悩んだと思う・・・
いっぱい葛藤したんじゃない?だって私が怒り狂うかもしれないじゃない。
夫婦関係が、取り返しのつかないことになっちゃうかもしれないじゃない。
それでもここに来たのは、どうしてもここに来なきゃいけなかった理由があると思うの。
あなたのことだからすごく悩んで決断したんでしょ?
もう格好付けたり、はぐらかさないで欲しいの。ありのままのあなたの気持ちを教えて欲しいの。」

夫『あ、あぁ・・・悩んだよ。すごく。
本当に悩んだんだ。直美は俺に取って掛替えのない唯一無二の存在なんだよ。
一番、俺が大切に思ってるのは直美だ。もちろん子供も大切だけど、子供は2番目なんだ。
いつからか、そんな大切な直美が誰かに寝取られたらとか、不倫してたらって思うようになって・・・。
そんなこと思うとすごく辛いし苦しいんだ。
でも大切な人を奪われてるって思うと、得体の知れない感情が溢れだして来るんだ。
恥ずかしい話だけど、おちんちんが痛いほど硬くなっちゃうんだ。
最初はそんな自分にすごく戸惑ったし、意味が分からなかったんだ。
でもその妄想は、どんどん膨らんでしまって、直美がエッチな目で見られたらとか、
俺の前で、いやらしく触られたり、弄ばれたりしたら・・・
そんなことを考えるともう堪らなくなってしまうんだ。
自分でもおかしいと思うし、直美には理解できないかもしれない。
でも、もう試さずにはいられなかったんだ。ごめん。本当にごめん。もうこれっきり見学だけしたら帰ろう。
自分の感情だけで、直美を連れて来たこと、すごく反省してる。』

「そう・・・ありがとう。
正直に話してくれて嬉しいっていうのは変だけど。少し頭がすっきりした。
あなたが正直に話してくれたから、私も話すけど、ここ1年ぐらい私、下着派手になったでしょ?
わたし、あなたが昔のように襲ってくれるの待ってたの。
どうしたらその気になってくれるのかってね。だから下着を派手にしたりしてたの。
別に二人目は欲しくないの。というか二人目はもう勘弁ください。
もう妊娠から1から子育てするの無理。精根尽き果てました。
でもね。あなたとのスキンシップは大切にしたいってずっと思ってたの。
さっき、きっかけづくりってマスターに言ってたよね。
ここであなたの願望?なのかな・・・想いが叶うとあなたは私を抱いてくれるの?」

夫『もちろんだよ。直美のことが好きで堪らないんだ。
一番大切なものを汚されたら、お、俺は直美を抱きしめずにはいられないよ。
直美のこと死ぬほど愛してるんだ。』

「そうなの?ほらもう他のカップルさんの女性皆んなあんなにはだけちゃってる・・・
私、みんなの前であんなになって大丈夫なの?」

『あ、あぁ・・・俺は他の女性には興味ないんだ。でも直美がって思うと・・・もう堪らないんだ。』

「そうなんだぁ。
私もね、あなたの前でって想像したら、すごい背徳感かも・・・。
ほら、私、あなた以外の男性全く知らないから・・・
自分があなた以外に汚されるって考えると、すごいいけないことしてしまってる気がするの。
実際、めちゃくちゃ今、ドキドキしてるの。
ジェットコースターに乗る前とかお化け屋敷と似てるかな。」

『あ、あぁ・・・俺も堪らないよ。想像しただけで、ほら・・・こんなに・・・』

「あっ・・・ズボン・・・パンパンじゃない・・・そ、そっかぁ・・・
よし!決めた。今日はいっぱい飲むよ。飲まなきゃ出来ない。私、襲われて見ます!それでいい?」

『あ、あぁ・・・直美が大丈夫なら・・・。お、俺は直美を見てるよ・・・』

「あはは。でもこんなおばさんだから誰も相手にしてくれないかもよ。
やっぱ若い子の方がみんな嬉しいと思うし・・・。ま、成るようになれだね。飲もう!」

私は、マスターが作って下さった水割りを一気に飲み干しました。
もともとお酒は強くなく、ビール一杯でもフラフラになってしまうのです。
そんな私が濃い目のウイスキー水割りを一気に飲んだら、あっという間に出来上がってしまいます。
案の定、それから一気に酔いが廻りました。
それでもマスターにおかわりを頼んで飲んでいたように覚えています。
SAKURAさんのホームページに泥酔禁止と謳っているのにかなりのヘベレケでした。
まぁ、悪態をついたりはしないし、迷惑はかけてないと思います。


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